2009/10/31(土)mbookでUbuntu9.10

Ubuntu9.10がリリースされたので、さっそくmbookにインストールしてみました。


RCからのアップグレードで問題なさそうだったのですが、いろいろ手を加えまくったのでもう1度クリーンインストールしつつまとめてみました。ほとんど以前の記事の手直しになります。
  • インストール
  • 解像度を1024x600にする
  • タッチパネルを使えるようにする
  • 音を出す
  • 無線LANを使えるようにする
  • 内蔵HSDPAでWWAN通信
  • まとめ

インストール

mbookの起動時にFn+F11でUSBメモリから起動し、いつものようにインストールします。インストール自体は特に問題ないのですが、リリースに不具合として「ext4 ファイルシステムでは巨大なファイルが破損する恐れがあります」というのが上がってましたので、動画などで512MB以上のファイルを扱う場合は注意が必要かも(問題ないという話もあり)しれません。ちなみにクリーンインストールだとext4でフォーマットされます。

作業が多いので、内蔵無線LANが使えるようになるまでは、挿すだけで使えるUSB接続のLANアダプタ(有線無線問わず)があると便利です。

解像度を1024x600にする

以前からUbuntuのwikiに、HardwareSupportComponentsVideoCardsPoulsboというのが上がっていて、今でもこの方法が主流のようです。これをスクリプトにしたページがありますので、比較的お手軽にpsbドライバを組み込めると思います。
wget http://gma500re.altervista.org/scripts/poulsbo.sh && sh ./poulsbo.sh 
個人的にはレポジトリでまとめてインストールするのが好みなので、Lucazade(gma500)に期待していたのですが、xserver-xorg-video-psbがFailed to buildのままで残念でした。xserver-xorg-video-psb以外をインストールしても、結局最後の部分で手動が入るので、上記にあるGMA500REのスクリプトでインストールするのが楽だと思います。

スクリプトを実行して、再起動すると1024x600になります。

タッチパネルを使えるようにする

  1. 解像度を1024x600にしてから作業に入ります。
  2. GalaxTouchDriver から該当するファイル(自分の場合は2.06.2905)をダウンロードします。
  3. 展開して setup.sh を実行し、途中の選択肢は[2]PS/2 を選びます。
  4. /etc/init.d/rc.local の case “$1” inの前に echo -n serio_raw > /sys/bus/serio/devices/serio4/drvctl と付け加えます。
  5. 再起動後、eGalaxTouchを起動して、Toolタブから4点キャリブレーションで調整して設定終了です。

音を出す

/etc/modprobe.d/alsa-base.conf に以下の2行を追加します。
alias snd-card-0 index=0
options snd-hda-intel model=basic
再起動後、ターミナルで alsamixer を実行して、右から2番目にあるMonoのボリュームを大きくします。

無線LANを使えるようにする

ファームウェアの準備
  1. firmwareをダウンロードしてきます。
  2. 展開してFwImageの中にある、helper_sd.bin を sd8686_helper.bin に名前を変えます。
  3. sd8686_helper.bin と sd8686.bin を /lib/firmware にコピーします。
一応この時点でコマンド(iwconfig)による無線の設定はできますが、NetworkManagerを使うとフリーズします。コマンドでも数回実行するとフリーズするようです。フリーズしないようにするには無線のドライバ(libertas)を作り直す必要があります。


ビルド環境の構築
まずはビルド環境を整えます。
$ sudo apt-get install build-essential kernel-package libncurses5-dev libqt3-mt-dev

$ sudo apt-get install linux-source-2.6.31
$ cd /usr/src
$ sudo tar xvjf linux-source-2.6.31.tar.bz2

$ cd linux-source-2.6.31
$ sudo cp /boot/config-2.6.31-14-generic .config
$ sudo make oldconfig

libertasの修正
以下、/usr/src/linux-source-2.6.31/ で作業します。
libertas-dev mailing listのログにあったsd8686 linux system hang when associating to access pointからの流れが解決方法で、後半には差分が書かれてるのですが、2.6.29で取った差分らしく、9.10(karmic)のカーネル2.6.31だと微妙に違っていてうまくいきません。

2.6.31用に直したのが以下のテキストですのでコピーして libertas.patch など適当な名前で保存しておきます。
diff --git a/drivers/net/wireless/libertas/cmd.c b/drivers/net/wireless/libertas/cmd.c
index 6850981..ede1c5b 100644
--- a/drivers/net/wireless/libertas/cmd.c
+++ b/drivers/net/wireless/libertas/cmd.c
@@ -1496,6 +1496,13 @@ int lbs_prepare_and_send_command(struct lbs_private *priv,
 		ret = lbs_cmd_fwt_access(cmdptr, cmd_action, pdata_buf);
 		break;
 
+	case CMD_802_11_GET_LOG:
+		cmdptr->command = cpu_to_le16(CMD_802_11_GET_LOG);
+		cmdptr->size = cpu_to_le16(sizeof(struct cmd_ds_802_11_get_log) +
+					    S_DS_GEN);
+		ret = 0;
+		break;
+
 	case CMD_GET_TSF:
 		cmdptr->command = cpu_to_le16(CMD_GET_TSF);
 		cmdptr->size = cpu_to_le16(sizeof(struct cmd_ds_get_tsf) +
diff --git a/drivers/net/wireless/libertas/cmdresp.c b/drivers/net/wireless/libertas/cmdresp.c
index c42d3fa..4fe93b4 100644
--- a/drivers/net/wireless/libertas/cmdresp.c
+++ b/drivers/net/wireless/libertas/cmdresp.c
@@ -189,7 +189,21 @@ static int lbs_ret_802_11_bcn_ctrl(struct lbs_private * priv,
 		priv->beacon_period = le16_to_cpu(bcn_ctrl->beacon_period);
 	}
 
+	lbs_deb_leave(LBS_DEB_CMD);
+	return 0;
+}
+
+static int lbs_ret_802_11_get_log(struct lbs_private * priv,
+					struct cmd_ds_command *resp)
+{
+	struct cmd_ds_802_11_get_log *log = &resp->params.log;
+
 	lbs_deb_enter(LBS_DEB_CMD);
+	priv->wstats.discard.retries = get_unaligned_le32(&log->retry);
+	priv->wstats.discard.code = get_unaligned_le32(&log->wepundecryptable);
+	priv->wstats.discard.misc = get_unaligned_le32(&log->ackfailure);
+	lbs_deb_leave(LBS_DEB_CMD);
+
 	return 0;
 }
 
@@ -266,7 +280,9 @@ static inline int handle_cmd_response(struct lbs_private *priv,
 	case CMD_RET(CMD_802_11_BEACON_CTRL):
 		ret = lbs_ret_802_11_bcn_ctrl(priv, resp);
 		break;
-
+	case CMD_RET(CMD_802_11_GET_LOG):
+		ret = lbs_ret_802_11_get_log(priv, resp);
+		break;
 	default:
 		lbs_pr_err("CMD_RESP: unknown cmd response 0x%04x\n",
 			   le16_to_cpu(resp->command));
diff --git a/drivers/net/wireless/libertas/hostcmd.h b/drivers/net/wireless/libertas/hostcmd.h
index c8a1998..7ce35fc 100644
--- a/drivers/net/wireless/libertas/hostcmd.h
+++ b/drivers/net/wireless/libertas/hostcmd.h
@@ -771,6 +771,7 @@ struct cmd_ds_command {
 
 	/* command Body */
 	union {
+		struct cmd_ds_802_11_get_log log;
 		struct cmd_ds_802_11_ps_mode psmode;
 		struct cmd_ds_802_11_get_stat gstat;
 		struct cmd_ds_802_3_get_stat gstat_8023;
diff --git a/drivers/net/wireless/libertas/wext.c b/drivers/net/wireless/libertas/wext.c
index 8bc1907..9e0d161 100644
--- a/drivers/net/wireless/libertas/wext.c
+++ b/drivers/net/wireless/libertas/wext.c
@@ -788,7 +788,6 @@ static struct iw_statistics *lbs_get_wireless_stats(struct net_device *dev)
 	int stats_valid = 0;
 	u8 rssi;
 	u32 tx_retries;
-	struct cmd_ds_802_11_get_log log;
 
 	lbs_deb_enter(LBS_DEB_WEXT);
 
@@ -830,13 +829,8 @@ static struct iw_statistics *lbs_get_wireless_stats(struct net_device *dev)
 	quality = rssi_qual;
 
 	/* Quality by TX errors */
-	priv->wstats.discard.retries = dev->stats.tx_errors;
 
-	memset(&log, 0, sizeof(log));
-	log.hdr.size = cpu_to_le16(sizeof(log));
-	lbs_cmd_with_response(priv, CMD_802_11_GET_LOG, &log);
-
-	tx_retries = le32_to_cpu(log.retry);
+	tx_retries = priv->wstats.discard.retries;
 
 	if (tx_retries > 75)
 		tx_qual = (90 - tx_retries) * POOR / 15;
@@ -852,9 +846,9 @@ static struct iw_statistics *lbs_get_wireless_stats(struct net_device *dev)
 		    (PERFECT - VERY_GOOD) / 50 + VERY_GOOD;
 	quality = min(quality, tx_qual);
 
-	priv->wstats.discard.code = le32_to_cpu(log.wepundecryptable);
+//	priv->wstats.discard.code = le32_to_cpu(log.wepundecryptable);
 	priv->wstats.discard.retries = tx_retries;
-	priv->wstats.discard.misc = le32_to_cpu(log.ackfailure);
+//	priv->wstats.discard.misc = le32_to_cpu(log.ackfailure);
 
 	/* Calculate quality */
 	priv->wstats.qual.qual = min_t(u8, quality, 100);
@@ -864,6 +858,9 @@ static struct iw_statistics *lbs_get_wireless_stats(struct net_device *dev)
 	/* update stats asynchronously for future calls */
 	lbs_prepare_and_send_command(priv, CMD_802_11_RSSI, 0,
 					0, 0, NULL);
+
+	lbs_prepare_and_send_command(priv, CMD_802_11_GET_LOG, 0,
+				     0, 0, NULL);
 out:
 	if (!stats_valid) {
 		priv->wstats.miss.beacon = 0;

差分はgitで当てます。
$ sudo apt-get install git-core
$ sudo git apply libertas.patch

カーネルビルドをmbookで行うと5時間以上かかるので、ドライバのみビルドします。
$ sudo cp /usr/src/linux-headers-2.6.31-14-generic/Module.symvers ./
$ sudo make modules_prepare
$ sudo make M=drivers/net/wireless/libertas

ドライバの組み込み
無線がONになってる場合は、WLAN-BTボタンを押して、無線をOFFにしてから組み込まれてるドライバをはずします。
$ sudo modprobe -r libertas_sdio libertas
/lib/modules/2.6.31-14-generic/kernel/drivers/net/wireless/libertas/ に現在のドライバがあるので、(使わないと思いますが)一応バックアップしておきます。./drivers/net/wireless/libertas/ にビルドしたドライバ libertas.ko と libertas_sdio.ko が出来上がってるのでmodulesの方へコピーして、念のため depmod -a をしておきます。

WLAN-BTボタンを押して、dmesgやlsmodで新しいドライバが組み込まれたか確認します。

NetworkManagerで無線の設定をして、固まらなければ成功です。カーネルイメージのバージョンアップがあるたびに libertas.ko と libertas_sdio.ko をコピーするのを忘れないようにします。

内蔵HSDPAでWWAN通信

mbookに内蔵されているのは、C-motech CHE-628Sというモデムです。lsusb で確認すると以下のように表示されます。
Bus 004 Device 002: ID 16d8:6007 CMOTECH Co., Ltd.
しかし、usbserialのドライバがまだ入っていないので、ttyUSB*が存在しません。ですので、まずはudevにドライバの組み込み設定をします。/etc/udev/rules.d/50-local.rules というファイルを作成して、次のような中身にします。
SUBSYSTEM=="usb", SYSFS{idProduct}=="6007", SYSFS{idVendor}=="16d8", RUN+="/sbin/modprobe usbserial vendor=0x16d8 product=0x6007"

再起動すると、/dev以下に ttyUSB0~2 まで出来るはずです。あとは gnome-ppp をインストールして設定していきます。モデムは /dev/ttyUSB1 を使用、Options の Check carrier line のチェックを外す、を注意しておけば大丈夫だと思います。

Screenshot-GNOME PPP.png


Screenshot-Init Strings.png


Screenshot-Setup.png


Screenshot-Setup-2.png



まとめ

かなり長文になりましたが以上がmbookにUbuntu9.10をインストールする方法になります。所持していないのでわかりませんが、おそらく工人舎のPMシリーズもほぼ同様にインストールできると思われます。

webカメラはあいかわらずWindowsで起動(Fn+B)してから、再起動しないと使えない(PMはBIOSで設定できる)し、内蔵モデムもNetworkManagerから使用できない(こちらはもう少し)などまだまだ課題が多いのですが、とりあえず9.04で出来ていたことは最低限なんとかなっていると思います。

ビデオドライバ(psb)がおかしいのと省電力関係(USB周り)に不具合があるっぽいので、サスペンドやハイバネーションは今のところ厳しいかもしれません。この辺りはビデオドライバを無理矢理インストールしてるので、ある程度仕方ないかもしれません。
【追記】サスペンドに関しては別記事にまとめてみました。

半年付き合うことになるので、少しずつ解決していきたいと思います。